日本語の職務経歴書で「特記事項」欄を設ける場合、志望動機や受賞実績、優れた資質などを交えて転職の意欲を述べる自由記述欄として活用する一方、英文レジュメで志望動機や自己PRは「Summary」や「Objective」として、特記事項に該当する部分は「Award」「Achievement」「honors」「Skills」など項目ごとに分けて記述します。
各項目に分けて記載された内容は採用側も項目ごとに検討・評価するため、すべてにおいて軽視することはできません。
ここでは、レジュメ作成の際、抜け落ちることが多い「Awards」「Achievement」「honors」「Skills」といった各項目が必要な理由、役割を理解し、採用側へのアピールとしてどう活用すべきかを押さえます。
レジュメにAwardsやAchievementが必要な理由
一般的にAwardsやhonorsというのは、会社や社会が業務実績が高く評価されたことに対して授与する賞であり、努力や成果がたたえられたことを顕しています。
類似したスキルや経験で格差を付けることが困難な場合、過去のパフォーマンスの指標として信ぴょう性のあるAwardsの内容が重みを増し、レジュメを際立たせることができるのです。
求職者がなかなかAwardやhonorsの重要性に気づかなくとも、採用側にとっては、その人の努力の成果として評価します。
それが自身の才能であっても第三者からのお墨付きであり注目に値するのです。
とはいえ、実際にAwardsやhonorsの項目に書きたくとも賞を受けたことがない、目立った業績がないため書くことができない求職者もいると思います。
そのような求職者はAchievement項目を設け自己PRする方法が考えられます。
Achievement, Skills, Awards & Honors書くべき実績
Achievement、Skills項目を活用する
受賞歴や目立った社内表彰など特記すべきことがない場合どうすべきか、悩ましいところですが、対策が何もないわけではありません。
まず押さえておきたいのは、Awards項目以外のAchievementやSkills、Honorsというのは、必ずしも公式に授与された内容を記載しなくても問題ないということです。
これらの項目はは職歴の中に成果としても取り上げることができるものですが、より実績をハイライトする方法として別の項目で再度強調するやり方、それがAchievementやAwards、honorsの項目です。
Achievement
例えば、明確に社内で表彰された実績がなくともグループやチームミーティングで業務報告を受けた中で優れたパフォーマンスを発揮できたことはありませんか?
月次Transaction数、半期のAccuracyレート、年間Sales金額、コスト削減指標、などトップを取れなかったため受賞まで至らなかった、あるいは会社やチームに及ぼした影響が明確ではなかったことなどありませんか。
活躍した根拠や実績があれば表彰の如何にかかわらず、あるいは影響力の度合いを測ることが困難な場合でもAchievement項目を設けることでに記載できる内容です。また、成果をはっきり示す方程式に当てはめることができず、Work Experienceに記載しても訴求効果が限定的になってしまう場合では、別の成果をWork Experienceで説明し、実績だけを強調するためにAchievement項目を利用することも選択肢のひとつです。
例えば、このように書くことができます。
Key Achievement
Received a recommendation from senior management as a leader to implement “train-the-trainer program”
上層部からの指名でトレーナーのトレーニング役に抜擢されたケースを想定しました。Awardではありませんが、トレーニングする人をトレーニングするという大役を任されたのは業績といえます。
Achievementは、Work Experienceの中にも記載できるものですが、職歴内に説明する際、成果を示す方程式ができない場合に別項目を設け実績を述べることでスポットライトを当てる方法です。
Skills
別のブログでパワーワードの使い方について説明していますが、Work Experience(職歴)に示した成果をパワーワードで説明したことで、相乗効果である別の能力を訴求することが難しい場合や、結果的に、一方のスキルのみにスポットライトがあたることで、埋もれてしまう別のスキルを訴求する場合、Skill項目を立てて強調することはよくあるテクニックです。
例えば、以下の内容をレジュメに記載したとします。
Effectually reduce call-handling performance metrics closing a 80% first-call resolution ratio and average talk-time of 6 minutes that is far below 7 minutes goal.
Work Experience(職歴)の書き方に沿って相対的な指標と共に成果を説明していますが、強調できる別のストロングスキルが文章で埋もれてしまっても、レジュメでは同じ成果を何度も訴求しませんので、訴求方法としてスキル項目を活用することになります。
上記の例で言うと、業務効率化を述べたために、説明できなかったコミュニケーションスキルはもちろん、会話をしながら問題解決の糸口を見つけるスキルや顧客がどこでつまずいているかを的確に判断するための分析力なども訴求できる内容です。
これらをKey Skillsとしてアピールすれば、採用者側では、職歴の中で説明された成果とは別に改めて応募者のスキルを認識することができます。
この場合、以下のような書き方ができます。
Skills: Excellent Communication, Problem-solving, Analytic reasoning
コミュニケーションスキルをはじめ各スキルは実績がすでにWork Experienceで証明されているため、採用側も納得する内容です。
下の事例はセールスを拡大したことを成果として述べています。
Developed sales strategy that Doubled key account annual sales within 2 years after undertaken a sales director.
営業実績を説明することが最優先であり、Work Experienceに記載したことは正解ですが、別の角度から異なるスキルにでスポットライトを当てたい場合、改めてスキル項目を活用することができます。
この例では、顧客とのいい関係を築き上げることを得意としており、信頼関係構築が他のプロジェクト受注につながったこと、そのための営業戦略を練り上げたことも要因であれば、そのスキルも評価されるものです。
となると、次のようなスキルが訴求可能です。
Skills: Excellent Customer relationship, Strategic Sales planning
指標となる成果を記載せずに職歴にStrategic planning skill と書いても単なるfluff にすぎませんが、Work Experienceにれっきとした裏付けがあれば、別の視点から見た能力をSkill項目に書くことで、すでに目を通したWork Experienceを再認識し、新たな見地で評価される要因になります。
つまり、Work Experience(職歴)で成果をしっかりした根拠と共に説明できている場合、そこを拠り所として別の強みを端的に示し、採用側に改めてアピールするのもSkill項目の役割です。
ソフトスキル&テクニカルスキル
上記の例で示したスキルはTransferable Skill(ポータブルスキル)の中でもソフトスキルと呼ばれるもので、業界が異なっても多少職種が異なっても生かすことのできるです。
これとは別にアプリ開発言語の知識、業界で著名な工作機械の操作、アカウンティングの知識など特別な職種や業務で活かすことのできるテクニカルスキル(ハードスキル)が募集したポジションにマッチしている場合、より強みを発揮することができるのは言うまでもありません。
Awardsやhonorsに記載することがなくともスキル(Skills)の項目で募集ポジションに対する適性をアピールすることができるのです。
ポータブルスキルは幅広く活用できるため、記載する際は、優先順位をつけることを忘れないように。
まずは募集要項のJob Description を見直してみましょう。いくつものスキルが考えられる場合、限られた紙面やスペースの中でどのスキルを強調すべきかを求人内容ごとに検討し適した内容に修正する必要があります。
反対に、レジュメにスキル項目が欠けてたらどうでしょうか。Work Experienceを述べた際に一方だけにスポットライトが当たり、隠れてしまったスキルはありませんか。業務の棚卸しで書いた内容をもう一度見直して埋もれたスキルを見つけ出してください。
Awards and Honors
受賞実績、表彰実績は誰もが書けるものではありません。第三者が自分の成果を客観的に評価したもの、いわばスキルを証明するもので「Awards」「Honors」の項目を立てて記載します。
記載する際は、いつ、だれから、どのような賞を授与されたか簡潔に記載します。
記載すべきAwards and Hornorsには以下のようなものがあります。
社内向けAwards
- すぐれたパフォーマンス、業績やリーダーシップなどに対して授与される賞
The employee of the year、Best team playerなど
社外からの授与Awards
- 取引先から授与されるサプライヤー向け表彰
(イノベーション、品質管理、顧客満足度、KPIなどですぐれた実績を残したことに対する賞) - 業界団体からの功績や
- 出版社、メーカー主催のオープンコンテスト入賞実績
- メディアによるインタビューや事例の掲載、
例
Awards: FY2020 The Experience Maker Executive of the Year (Adobe KK)
Awards and Honorsは端的に表現する項目なのでパッとみて完結する書き方にしなければなりません。
やってはいけないこと
別の記事でも申し上げていますが、MS Office proficiency, Excel/ Word/ Power Pointなどは間違っても書かないように!!
MS Officeを使えることが武器になったのはWindows 98リリース以前のお話です。
ソフトウェアやアプリケーションの知識を書く場合、客観的に見てそのソフトを知っていることが有利に働くかを検討してから記載します。
また、次の職種で生かされないスキルであれば絶対書いてはいけません。採用側で「この求職者はほかに書くことがないのだろうか?」と思われるのがオチです。
Awards and Honorsに限らず英文レジュメ全体にあてはまりますが、特に成果をハイライトするための項目に記載する文は、募集職種に関連づけられたものであり、簡潔な表現を心がけます。
Volunteer について
求人の業務内容と関連付けられることは非常にまれなVolunteerですが、英文レジュメではよく見られる項目です。
ボランティアは、無償で人助けの活動に参加することであり、時に困難な課題解決にも取り組むまなければなりません。また活動を通して周りのスタッフとの協調性を養い、自己成長にもつながるのがボランティアです。
企業活動においても、ボランティア参加実績は与えられた業務以外も目配り、気配り、心配りができ、苦労を買って出る気質さえ感じられるもの。採用側では自分の時間を人助けに使う献身的な行動を評価します。
日本では、Volunteer についてまでレジュメに書く人が少ないため、かなりインパクトがある項目です。書類選考を通過した後の面接ではボランティア活動の内容だけではなく参加することになった動機も頭の中で整理しておけばほぼ完璧です。
まとめ
レジュメの後半、最後に記載されることが多いこれらの項目のレジュメに占める割合は小さいことが理由なのか、これら項目を軽視する求職者が多いのは悲しい限りです。
マラソンに例えるならゴール手前のラストスパート。ここで差をつけることが、他の競争相手を振り切ることにつながります。
- Work Experienceで成果を説明する方程式ができない場合は、Achievementに記載
- Work Experienceで隠れてしまったスキルはSkillsで訴求
- 転用可能なポータブルスキルは次の業務に関連づけられたものとし適性を訴求
- ボランティア活動は書く
- 募集職種に関連しない実績(AwardやHonorも)は書かない
必要な項目を自分で設けることができるのが英文レジュメです。
受賞実績がないことで項目を省くのではなく、次のポジションで必要とされるポータブルスキルを書くことでよりより自分が相応しい人材であることをアピールしなければなりません。