英文レジュメの一貫性には2通りの意味があります。
ひとつは見た目による一貫性、もう一つはSummary、Work Experience、Skill、Achievementといった各項目内の内容に整合性やキャリアパスのストリー性といった内容に関する一貫性です。
レジュメの見た目の一貫性はインデント、スタイル、項目や本文のフォントサイズなどに統一感を与え、読みやすさにも気を配った文書であることをアピールします。
読みにくいレジュメは応募者の印象をがさつにするだけでなく、注意が散漫になり内容に集中できなくなる危うさがあるという意味で問題ですが、今回は内容に関する一貫性についての説明です。
Summary とWork Experience間の整合性
採用側にとってレジュメは応募者がどのようなキャリアを歩んできたかを知るツールです。
長年のキャリア人生で様々な業務を経験する中で多岐にわたり輝かしい成果を残した方も多数いらっしゃると思います。
特に10年、20年とキャリアを積んできた中間管理職の転職では今までのキャリアを一貫性をもって説明することが重要です。
サマリーやプロフィールは過去のキャリアハイライトをまとめた部分ですが、気を付けるべきことは、常にWork Experienceとの整合性を考えなければならないという点です。
次章で記載しますがWork Experienceは求人のJob Descriptionに対応するように作成することが書類選考で優位に立つ秘訣です。
サマリー(Summary)は職歴(Work Experience)を総括したものであるためJob Descriptionに応じて職歴の内容が変わればサマリーも変わらなければなりません。
最もやってはいけないことは過去の成果をすべて強調しようとすること。すべての成果を盛り込もうとして募集ポジションには無関係な過去のハイライトを書いてきた応募者も多数見てきました。Summary部分が肥大化した結果スペースが削られ、Job Descriptionに関連するスキルを絞り込まなければならないことになれば本末転倒です。
求人内容に対応したレジュメであること
募集要項には、職務内容、募集ポジションで要求されるスキル・経験レベル、職責などが載っています。
採用担当者が応募者を判断する際に最も重要なことは、募集したポジションをどれだけ任せることができる人材かを判断すること。
採用側の最初の判断材料はレジュメだけです。レジュメがどれだけ募集ポジションにマッチングするかが問われますので、募集要項に沿った書き方が必然的にマッチング率を高め書類審査通過の近道になります。
職務経歴書を作成する時に多くの求職者が犯す過ちは自分の実績だけに焦点を絞ってしまうことです。
類似した経験を生かせるポジションへの応募であっても、自分中心の職務経歴書では、求人内容の要求事項と乖離が生じてしまいます。
過去の実績を活かせる場合は強調し、スキルや経験が欠けていいる場合は過去の業務で習得したTransferable Skill(転用可能なスキル)でカバーできる内容に変更するなど、適任者として評価される内容に変更しjob descriptionとの一貫性をキープしなければなりません。
提出前にレジュメに記載したWork Experienceが募集ポジションを補充するにあたり相応しい内容になっているか、常に採用担当者の視点で検討してみてください。
- 要求事項に当てはまる場合は強調する
- 転用可能なスキルとして関係性を考慮した内容に修正する
- 直接無関係であれば削除する
キャリアパスが明確であること
転職を通じたキャリアパスの構築
過去10年、20年のキャリアを説明するにあたりどのようなスキルと経験を積んできたかがわかる内容にすることはレジュメを通じてキャリアパスの一貫性を示す重要な要素です。
また、異業種へ転職が一貫性を否定するものではありません。
とはいえ、なぜA社からB社に転職したのか、何がきっかけなのか、面接では同業種の類似ポジションに転職した場合でも問われます。書類選考では職務経歴書で採用側がストリー性を感じる書き方が必要になってきます。
例えば、現職が銀行員であり、転職しようとしているポジションが証券会社といった場合、同じ金融業界でもなぜ証券会社に転職したいのか、レジュメのサマリーや志望動機(Summary/ Objectives)だけではなくWork Experienceに妥当性を表明することでキャリアパスを明確にすることができます。
以前の転職がTransferable Skillを活かした転職であれば、次の職場で前のスキルがどのように活かされたかが伝わるレジュメに仕上がっていることで一連のストーリーが生まれます。
対して全く違う職種、業種に転職していた場合は、キャリアチェンジを示す裏付けを盛り込みたいところ。
レジュメでスキルの習得やプロジェクト経験を交えて伝えることでキャリアパスとしての一貫性が生まれます。
社内プロモーションでのキャリア構築
キャリアパス形成は転職だけではありません。
入社し立ての新人時代は皆実務の習得と効率化に注力します。その後、業界や製品・サービスの知識が蓄積され、さらにスキルや経験、実績が加わり会社からの信頼が増すとより責任ある仕事を任されポジションもリーダーからマネージャーや課長に、さらに部長へと昇格していきます。
キャリアを積み上げエキスパートになる過程では、どれだけの実務をこなしてきたのかが重要視されます。
マニュアル通りに進めて業務を効率よく回すことが第一段階。
実務を習得し上長の業務アシスタントとしてより複雑な業務をこなすことが第二段階。
周りの業務にも目を配りクリエイティブな発想で組織の業務改善を進めることが第三段階。
段階を踏むごとにより高度なスキルが要求され、自己判断力や問題解決能力が必要になります。
マネージャーに昇格すると、より重責のある業務をこなしながら部下の育成や他部署間との調整も必要になります。
このように、新人時代から中堅リーダー、管理職になるにつれて自分一人で完結する実務能力だけではなく、メンターとしてチームメンバーの育成や他部署との連携で問題解決スキルやコミュニケーションスキルなども問われ利害関係者と調整能力を発揮してきたはず。
大局的な見地で問題解決を図るリーダーシップスキルは中間管理職必須のスキルです。Work Experienceでは、過去から現在にかけて、業務内容、経験やスキル、専門性などあらゆる面でステップアップしたことがわかる内容にすることが重要です。
中間管理職のレジュメフォーマット
レジュメのフォーマットには主にFunctionalフォーマット、reverse-chronological フォーマット、あるいはこの2つのミックス(combination)があります。
中堅どころが転職でレジュメを作成する際は、キャリアアップの変遷がより明確になる後者2つののフォーマットで書いていくことをおすすめします。
もし今回募集したポジションが応募者のキャリアパスの過程であることがわかれば採用側は転職活動をより好意的に捉えます。
応募者がどのようなキャリアアップをたどり、これからどう歩んでいくのか目的意識がわかる職務経歴書はブレのない一貫性を感じさせ、読む人を納得させるのです。
人事が感動すれば味方になる
人事担当の仕事として募集案件の内容を把握し求人案内を出稿する場合は、本当の意味での最初のスクリーニングです。
ここで、面接までのシナリオを考えてみましょう。
- 採用責任者(採用する部署の責任者)が募集要件を人事に伝えます。
- 人事は、内容を確認し求人案内を出稿
- 集まった応募者の職務経歴書をレビュー、
- 採用条件に近いと判断した候補者を採用責任者にエスカレーション
- 採用責任者が候補者の職務経歴書をレビューしショートリストを作成
- 面接候補者を人事に伝達
- 面接
人材紹介を利用する場合は、人事に変わって2,3,4の部分をを人材紹介が代行ますが、このような流れが一般的です。
人事部の役割
人事部では直近の業務内容、ポジション、今までどのようなキャリアを積んできたか、どれぐらいの経験があるか書類を通し第三者の目線で判断します。ある程度、人事部で書類選考を済ませることで、通常業務に追加負担となる採用側のHR業務負荷を削減します。人材紹介もスクリーニングに関与することでし候補者を絞り込み、通常業務をこなしながら選考をすすめる採用部門の手間を軽減します。
業務内容の大枠を掴んでいる人事の担当者は、レジュメの一致度が高いと判断すると、採用責任者にノミネートの理由を添えエスカレーションします。人事部でより高い評価を下す候補者のレジュメほど採用部署の責任者は注意深くレジュメを読みますので、ポジティブな判断を下しやすいと言えます。
要点を絞る
レジュメを作成する時には簡潔に必要なポイントに絞って書くことが特に重要です。
採用担当者(人事部門の書類選考者ではなく必要としている部署の担当者を指します)が履歴書を読む時間は限られています。
特に日本人の長い文でだらだら記述されたWork Experienceの書き方は瞬時に頭に入ってこないため、大切な訴求部分が埋もれたり見逃す可能性も否定できません。Job Descriptionに対応した内容でも推敲して長すぎると思ったら要点が伝わる内容で簡潔になるように見直してみてください。
詳細に記載して適任者であることをアピールするのは普通の求人者目線の作成、簡潔に要点を絞って適任者であることをアピールするのが採用担当者目線の作成です。
まとめ
求職者がJob Descriptionに記載のある要求事項を満たさなければならないことは頭では理解しています。
とはいえ、職務経歴書を作成する段階になると自分の成果は示されているけれどWork Experienceが求人内容からかけ離れた内容になってしまうケースを多く見てきました。
すぐれた成果であっても今欲しいポジションで必要としなければプラス要因にはなりません。
別のポジションだったら、、、と思うこともありますが、この度の求人で必要な人材ではないのです。
求人応募に必要となる要件に沿って作成する
求人内容にどれだけ近づけるか、マッチングしているかを意識する
求人内容に沿ったWork Experienceに修正したらSummaryも同時に見直す
Transferable Skillを交えキャリアパスが説明できる内容にする
不要なことは書かない